いつも与えて心はポカポカ 親切は驚くほど体にいい!
副作用のない幸せの秘薬
だれかに親切にすると気分が良くなるというのは、あなたも経験があるでしょう。ボランティアをしている人の間に「ヘルパーズ・ハイ」という言葉があるように「親切にすると幸せになれる」ということに、多くの人が気づいています。
最近の研究結果では、その感覚が正しかったことが証明されました。
人に親切にすると、脳の中に「オキシトシン」という幸せ物質が放出され、それが幸福感や満足感を与えてくれます。心が温かくなり、ポカポカするのもこの物質の作用によります。オキシトシンはストレスを消したり、血管を広げ、血圧を下げる作用もあるそうです。
別の研究によれば、進んで他の人を助ける人は、痛みを経験したり落ち込んだりすることが少なくなる、さまざまな病気が改善される、アルコールなどの依存症から回復しやすくなる、ということも分かっています。
「人に親切にしても何の得にもならない」と考える人もいますが、あなたの健康と幸福は、人に親切にした回数で決まるのです。
長続きする幸せ ドーパミンとの違い
幸福を感じる脳内物質には、もうひとつ「ドーパミン」があります。ドーパミンは「報酬系」の物質といわれるように「何かの報酬を得たとき」に放出されます。報酬といってもお金に限らず、おいしいものを食べたとき、美しいものを見て感動した時、目標を達成した時など、人間が「楽しい」と思うときにはたいていドーパミンが出ています。また、旅行の計画を立てている時など、「報酬が得られそうなとき」にも放出されています。遠足や旅行の前日にワクワクして眠れないのはこの作用によります。
ドーパミンは確かに幸福をもたらしてくれますが、危険もあります。同じ刺激だと放出量が減っていき、快感が得られなくなってしまうのです。あなたも、最初は感動したけど、2回目、3回目…と同じ経験をするとだんだん慣れてきて、楽しみや感動が薄くなるということがあるのではないでしょうか。
ちなみに、依存症や中毒の人が深みにはまっていくのは、この特性によります。タバコを吸ったりギャンブルを行なうと最初は大量のドーパミンが放出されますが、2回、3回…と続けていくうちに同じ量ではドーパミンがでなくなるため、もっと強い刺激を求めるようになり、深みにハマっていくのです。
またドーパミンのもう1つの問題は、幸福が長続きしないこと。ドーパミンの幸せは、強烈な快感や興奮を伴う一方で、持続性がなくすぐに冷めてしまいます。◯ィズニーランドで遊んでるときは最高に楽しいけど、遊び終わると感動も終わる…という感じです。
それに対してオキシトシンの幸福は持続性があります。ドーパミンのような強烈な快感はありませんが、長続きする幸せなのです。みなさんもだれかに親切にしたときに、心がポカポカと温かい感じになって、その幸せが1日中続いた経験はないでしょうか。
ドーパミンの幸せも人生には必要ですが、人に親切にするともっと長続きする幸せを与えてくれるのです。あなたも毎日誰かにちょっとした親切をして、心に火が灯るようなほっこりした幸せを味わってみませんか。

